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何か面白いことないかな

大分県中津市で見つけた歴史資料25『大和本草』(1709)

少し前にカロライナジャスミンを購入して以来、薬草・有毒植物がマイブームです。
そのような経緯もあり....今回は江戸中期、空前の健康ブームを巻き起こした貝原益軒の薬学本『大和本草』を紹介しようと思います。

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筆者が購入したスミレ、根と種子に毒があるらしい


大分県中津市に仮住まいしていました。蘭学関係の古文書が数多く置かれているので「中身はどのようなものか」と気になり、興味本位で調べています。関係者ではありません。


目次

大分県中津市ってどこ?

福岡県と大分県の県境です。蘭学の街として栄え、歴史の教科書に掲載される『解体新書(初版本)』が展示されている町です。
今は「中津からあげ」と鱧が有名です。

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(画像引用元:中津市へのアクセス | 大分県中津市


『解体新書』の翻訳者、前野良沢の所属が豊前国中津藩(現在の大分県中津市)なので、そのゆかりで『解体新書(初版本)』が中津市に展示されています。

大和本草』について

大和本草』(1709) って何?

日本の本草学(江戸時代の薬学)の出発点となった本です。
中国から有名な本草学書『本草綱目(1596)』が日本に1607年渡来したものを、日本の植物におきかえた本草書が『大和本草』です。

昔はたとえ知識を持っていても、他人には教えない風潮がありました。そのような中、貝原益軒は後世に伝えようとして、誰にも分かるように書き上げました。


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村上医家資料所蔵 大和本草

国立化学博物館の地球館2F 江戸時代の科学技術コーナーにも展示されているようです。

何がすごいの?

明治時代に生物学や農学の教本が西洋から輸入されるまでは、日本史上最高峰の生物学書であり農学書だったそうです。
現在、江戸時代までの生物学書や農学書の資料は大和本草以外は残っていないようで、当時の日本独自の生物学や農学を知る上での第一級の資料だそうです*1



ちなみにこの本、著者の貝原益軒が79歳頃にできた書物です。

作者:貝原益軒(かいばら えきけん)って誰?

貝原 益軒(1630年 - 1714年)は、江戸時代の本草学者、儒学者です。

江戸時代に空前の健康ブームを巻き起こした健康指南書の『養生訓』で有名な方です。

貝原益軒儒学朱子学者でしたが、医学や本草学(現代でいう薬学)に広く深い知識をもっていたそうです。知識だけでなく実践も重視し、現物を見たり自分で試してみたりして、実証も大切にしていました。



話は少々逸れますが、wikipediaを見ていたら以下の説明文が記載されていました。

1648年(慶安元年)、18歳で福岡藩に仕えたが、1650年(慶安3年)、2代藩主・黒田忠之の怒りに触れ、7年間の浪人生活を送ることとなる。1656年(明暦2年)27歳、3代藩主・光之に許され、藩医として帰藩。翌年、藩費による京都留学で本草学や朱子学等を学ぶ。
引用元:
貝原益軒 - Wikipedia

2代目藩主黒田忠之とは黒田官兵衛の孫です。黒田忠之の弟の光之が許すまでの7年間、浪人生活を送っていたようです。
年取ってからは、数々の名著を出し報われたようで良かったです...。


大和本草』の内容

16巻・附録2巻・諸品図2巻から編成しています。
薬用植物のみならず薬用に使われる動物、鉱物も含まれています。薬品だけでなく農産物や加工食品も取り扱われ、利用価値のない雑草なども記載されています。*2

大和本草』の 中身

殆どが文字ばかりですが、絵ばかり集めた巻もあります。
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(引用元:早稲田大学図書館 大和本草 1

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(引用元:早稲田大学図書館 大和本草 18




木乃伊(ミイラ)

ミイラの薬効が巻一六に記載されています。

打撲骨折に外用及び内服として用い、その他にも労咳結核)にも優れた効き目があるが、もともと人間であったものを人間が薬用に用いることは仁礼の道に反し君子の忍び難き事であると書かれています。

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(画像引用元:早稲田大学図書館『大和本草』巻一六 画像23枚目,24枚目
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ni01/ni01_00413/ni01_00413_0016/ni01_00413_0016.html


具体的な処方です。

気血両虚の人(気力弱り貧血もある人)にミイラを粉にして蜂蜜を混じて梧桐子大(青桐の実の大きさ)の丸とし、一日一〜二回お湯で服用する。
産後に出血により虚脱状態になった人。
気疲れが充じて胸痛し、また疾がからんで出にくい人。
吃逆(しやつくり)で胸が痛む人。
歯痛や虫歯のため歯に穴があいている人はミイラの粉に蜂蜜を加えて塗る。
頭痛や眩量にミイラを粉にしてお湯にて服用する。
妊婦が転倒して失神したときミイラを火にて焼き、その香りを嗅がせるとよい。
高熱の場合、粉にして水で服用させる。
毒虫に刺された傷に粉末にして、油を混じて湿布する。
(引用元:貝原益軒著﹁大和本草﹂記載の ミイラの薬効について
http://jsmh.umin.jp/journal/43-3/346-347.pdf

ミイラの具体的な使い方....初めて知りました。

転載:ゆるすぎる!江戸時代の古文書に描かれたカブトガニが超絶ゆるキャラ

昔、ニュースサイト「ガジェット通信」に乗せられていたカブトガニの絵が載せられています。
https://mag.japaaan.com/wp-content/uploads/2015/04/yurukabutogani.jpg
(画像引用元ゆるすぎる!江戸時代の古文書に描かれたカブトガニが超絶ゆるキャラ! | ガジェット通信 GetNews



そういえば中津のカフェで出会った年配の方が「だいぶ昔ここらで取れたカブトガニ食べたことある。なかなか美味しい」と話していたことを思い出しました。

ネット上での閲覧方法

国立国会図書館早稲田大学図書館、中村学園大学図書館等から閲覧することができます。

早稲田大学図書館のデジタルアーカイブ

シンプルに羅列されています。pdfと写真(jpg画像)が用意されているので、画像を少し使いたい場合は便利です。 t
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(引用元:早稲田大学図書館 「大和本草」

中村学園大学図書館デジタルアーカイブ

大和本草大和本草付録、大和本草諸品図を巻別にpdfにされており、『大和本草』について補足情報も記載されています。
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貝原益軒アーカイブ|図書館|中村学園大学・中村学園大学短期大学部

大和本草』の展示場所

村上医家資料館の蔵の中に展示されています。

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村上医家資料館・大江医家資料館 共通パンフレット


まとめ

大分県中津市の村上医家資料館には、江戸時代中期の日本の本草学(江戸時代の薬学)の出発点となった『大和本草』が展示されています。
興味のある方は、別府温泉、 湯布院温泉に行くついでに、ぜひ中津市にもお立ち寄りください。


現在、中津市の青の洞門対岸ネモフィラ畑がシーズンのようです。
https://www.city-nakatsu.jp/kankodocs/2018041300018/file_contents/401301.JPG

https://www.city-nakatsu.jp/kankodocs/2018041300018/file_contents/040503.JPG





私ごとですが....

このごろ気晴らしと運動に、庭を掘り返したり頻繁に植物園や園芸店に出向いたりしていました。

以前、カロライナジャスミンを購入したことをきっかけに、意外と有毒植物が身近に存在していることに気づきました。そのようなこともあり、時おり身近な有毒植物についても載せようと思います。