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何か面白いことないかな

大分県中津市で見つけた歴史資料22『解体新書』(1744)

明けましておめでとうございます。
お正月はいかがお過ごしでしたか?私は年末年始は地元の観光施設に訪れたり、ドライブしたりして楽しんでいました。


1月1日は正月時代劇「風雲児たち蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」を見ていました。
平賀源内の劇中の以下の台詞、好きでした。

「金が動けば世の中に活気が生まれる。世の中が潤う」

「私は何をやるために生まれて来たのかまだ分かりません。才能ありすぎるのも困ったものだ」


昨年まで、大分県中津市に仮住まいしていました。蘭学関係の古文書が数多く置かれているので「中身はどのようなものか」と気になり、興味本位で調べています。
今回はドラマで取り上げあられた『解体新書』と、ドラマの補足情報でも書いてみようかと思います。


目次

大分県中津市ってどこ?

前野良沢が所属する豊前国中津藩ですが、現在の大分県中津市です。
福岡県と大分県の県境です。蘭学の街として栄え、歴史の教科書に掲載される『解体新書』をみることができる町です。
今は「中津からあげ」と鱧が有名です。

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(画像引用元:中津市へのアクセス | 大分県中津市


『解体新書』翻訳場所は豊前国中津藩江戸屋敷(つまり東京)の前野良沢邸なので、大分県中津市は出てきませんが....。

『解体新書』について

『解体新書』(かいたいしんしょ、解體新書)は、ドイツ人医師ヨハン・アダム・クルムスの医学書"Anatomische Tabellen"のオランダ語訳『ターヘル・アナトミア』を江戸時代の日本で翻訳した書。西洋語からの本格的な翻訳書として日本初。著者は前野良沢(翻訳係)と杉田玄白(清書係)。安永3年(1774年)、須原屋市兵衛によって刊行される。
解体新書 - Wikipediaより引用)


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大分県中津市に展示されている『解体新書』初版本)

解体新書の製作ピソード漫画

1月1日の正月時代劇「風雲児たち蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」を見ていない人のために、『解体新書』の出版までのエピソードについて書かれた漫画を貼っておきます。
前野良沢の名前を出さなかった経緯はドラマとは異なりますが、出版に至るまでの流れは同じです。

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(引用元:レジェンド・オブ解体新書 杉田玄白物語 | まんがCAPTURE WEB漫画サイト

ドラマでもでてきましたが、この翻訳の際に日本人に受け入れやすい言葉として作り出された単語「十二指腸」や「神経」は、今も使われています。


『解体新書』は『ターヘルアナトミア』を正確に翻訳できているか?…と言う問いかけに対してですが、極めて怪しいようです。翻訳の正確さについても目を覆いたくなるレベルのようですが、『ターヘルアナトミア』の「精神」と言いますか「雰囲気」は伝わってくるようです。



ネット上での閲覧方法

閲覧されたい方は国立国会図書館がデジタルアーカイブしていますので、写真下のリンクへおすすみください。

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国立国会図書館デジタルコレクション - 解体新書 4巻. [1]

原著『Ontleedkundige Tafelen』(通称『ターヘル・アナトミア』)

ドイツ人医師ヨハン・アダム・クルムスの医学書"Anatomische Tabellen"をオランダ語役したものを、杉田玄白前野良沢らが翻訳していました。
当時のヨーロッパでは『解体新書』の原著『ターヘルアナトミア』は世界基準では最先端の書物ではなく、単なる入門書のようなレベルの書物だったようです。


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大分県中津市 大江医家資料館特別展展示品『ターヘル・アナトミア』

ターヘルアナトミア自体は世界的には大したことのない入門書ですが、当時の杉田玄白前野良沢らは、それでも必死になって医学知識を得ようとしていたのですね。



東洋文庫ミュージアムでは、両方並べて展示されています。

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東洋文庫ミュージアム展示品

当時のご時世

「『解体新書』翻訳しました。やったー!」で終われない世界だったのが、当時のご時世です。

『紅毛談』(おらんだばなし)事件(明和2年)

ドラマにも確かチラッと出てきた?書籍『紅毛談』(おらんだばなし)です。
オランダ人から聞いた話を書きをまとめた『紅毛談』(おらんだばなし)が、発禁処分となる事件が起きていました。
アルファベットを乗せたというだけで、作者が捕らえられてしまったようです。

漫画「風雲児たちワイド版」にこのようなコマのシーンがありました。

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風雲児たち ワイド版⑤

そんな訳で、杉田玄白によるハイパー根回し術の見せ所です。

杉田玄白のハイパー根回し術

テレビ番組「NHK 先人たちの底力 知恵泉(ちえいず) 新規プロジェクト必勝法 杉田玄白」に紹介されていた根回し術ですが、ご紹介いたします。

翻訳際に細心注意

玄白はこの危機をかいくぐるため、解体新書の表現に徹底的に注意を払って行きます。…キリスト教のシンボル、十字マークを写真左で表現したり、解体新書を翻訳する際に幕府に目を付けられる可能性の高い、キリスト教を連想させる表現を全て別の表現に改めたのです。

アルファベットは全てカナ文字に、アラビア数字も全て漢数字に…それは本文にも及びます。ターヘルアナトミアではのど仏は、Adamsappelと書かれています。これは旧約聖書を元に付けられた名称です。

清書がらみのこの表現、玄白は『結喉』と書き変えました。…玄白はキリスト教を連想させる表現が解体新書に残らないよう徹底的に心をくだいたのです。

(引用元:https://ameblo.jp/e-fh/entry-11605869781.html

「解体約図」で世間の反応を見る

『解体新書』の予告編のようなもので、5枚1セットで出された簡略な人体図です。説明は最小限に抑え、体の全体像が一目で分かる表現にしています。

大奥からの根回し

翻訳者の一人、桂川甫周の父は将軍付きの幕府の医官でした。そこで玄白は、甫周の父を通じて、出来立ての『解体新書』を江戸城内の大奥に献上したのです。大奥に献上されたということは、幕府が暗黙に認めたということになり、奉行所から咎めを受ける心配がなくなったのでした。こうした玄白の用意周到な準備により、解体新書は世に出たのでした。
(引用:レポート ・解体新書と小田野直武 )

朝廷への根回し

杉田玄白は朝廷の実力者の、関白の九条家近衛家にも『解体新書』を献上しました。
批判されるどころか、公家に至ってはわざわざ和歌や漢詩を送られるほどの好感触だったようです。
(引用元:https://ameblo.jp/e-fh/entry-11605869781.html

このような経緯がありまして『解体新書』が無事に世の中に出回ることになりました。
これ以後、世界からすると遅れていた医術が急に発達し、『解体新書』発刊から150年ほどで田原淳やら北里柴三郎等の世界レベルの医師を排出するまでに至ったのは何だか嬉しいですね。

今現在の医術のレベルが世界的に見てどれ位にあるかは、私は医師では無いのでさっぱりですが....。


肖像画の所蔵

杉田玄白肖像

教科書でおなじみの杉田玄白肖像画は、早稲田大学の所蔵です。
東京の牛込、矢来公園に杉田玄白生誕地があります。生誕地に近い場所に、肖像画保管されているのも何かの縁でしょうか?

この肖像画杉田玄白の80歳の時のものです。

杉田玄白肖像 / [石川大浪] [画] ; 九幸老人 書
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杉田玄白肖像 / [石川大浪] [画] ; 九幸老人 書

左上の文章(賛)は玄白自身のものです。以下の文章が書かれています。

荏苒(じんぜん)太平の世に、無事天真を保つ、復是烟霞(またこれえんか)改まり、閑(しず)かに八十の春を迎う

※荏苒(じんぜん)....なすことのないまま歳月が過ぎるさま。また、物事が延び延びになるさま。
※烟霞(えんか)......煙と霞かすみ。靄もやと霞。ほのかにぼんやりと見える景色。



余談ですが、杉田玄白の子孫は甲子園球児のようです。

前野良沢肖像

歴史の資料集に使用されている前野良沢肖像画ですが、現在、大分県中津市の大江医家資料館に展示されています。
大分県中津市在住の個人蔵の掛け軸です。
普段目にする絵は写真を切り抜いて拡大しているから大きいのですが、実物の絵は意外と小さく描かれており、前野良沢ら江戸時代􏰀医学に影響を与えた3人􏰀医者􏰀がセットで描かれています。

前野良沢 肖像
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(図: 前野良沢肖像)


早稲田大学肖像画があります。

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前野良沢肖像

平賀源内肖像

慶應義塾大学所蔵の平賀源内肖像です。

平賀源内肖像(木村黙老著『戯作者考補遺』 明治写)
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慶應義塾図書館|平賀源内肖像 (木村黙老著『戯作者考補遺』 明治写)

早稲田大学所蔵の平賀源内肖像です。

平賀源内肖像 中丸精十郎画
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平賀源内肖像

余談ですが、ドラマ冒頭の腑分けを行なった小塚原刑場と平賀源内の墓は割と近くにあります。




大江医家史料館 特別展 『解体新書』と前野良沢

前野良沢の所属していた、豊前国中津藩(現在の大分県中津市)では、正月時代劇を記念して特別展を現在開催しています。


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(画像引用元:特別展『解体新書』と前野良沢を開催します | 大分県中津市 )

 『解体新書』編纂の中核を担った中津藩医前野良沢。平成30年度のNHK正月時代劇は、そんな彼を主人公とする『風雲児たち蘭学革命編』に決定しました。
 そこで、良沢ゆかりの地中津市では、放映を記念し良沢の足跡を紹介するとともに『解体新書』前後の医学の歴史に関する特別展を開催します。
 『解体新書』初版本(当館蔵)をはじめ、『解体新書』刊行までの事績を記した『蘭学事始』などの貴重な資料を展示します。
 これを見ればドラマが2倍も3倍もたのしめる!展示になっています。
 ぜひ、大江医家史料館にお越しください。


期間:平成29年12月6日(水)~平成30年2月12日(月)
開館時間:午前9時~午後5時まで(ただし入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週火曜日
12月28日より1月3日までは無料開放します。   
入館料:大人210円(団体30人以上120円)高大生100円(団体30人以上60円)

場所:中津市歴史民俗資料館分館 大江医家史料館(中津市鷹匠町906番地)
JR中津駅より徒歩7分 福沢旧居より徒歩5分 駐車場あり
(引用元:特別展『解体新書』と前野良沢を開催します | 大分県中津市 )

まとめ

今回、雑な感じにコピペを駆使して記事をまとめましたが、『解体新書』の発刊まで
大体は原作の「風雲児たちワイド版」を見れば、恐ろしいほどに詳しく載っていますので是非ご覧ください。
ドラマでは堅物として描かれていた豊前国中津藩の前野良沢ですが、大分県中津市ではイベント開催していますので、別府湯布院の温泉のついでにお寄りください。

参考

風雲児たち?蘭学革命篇?

風雲児たち?蘭学革命篇?