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何か面白いことないかな

大分県中津市で見つけた歴史資料19 『医範提綱内象銅版図』(1805)

大分県中津市に仮住まいしていました。蘭学関係の古文書が数多く置かれているので「中身はどのようなものか」と気になり、興味本位で調べています。



今回は津山藩医・宇田川玄真が刊行した江戸時代の解剖図『医範提綱内象銅版図(いはんていこうないしょうどうはんず)』を紹介いたします。


目次

大分県中津市ってどこ?

福岡県と大分県の県境です。蘭学の街として栄え、歴史の教科書に掲載される『解体新書』をみることができる町です。
今は「中津からあげ」が有名です。
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『医範提綱内象銅版図(いはんていこうないしょうどうはんず)』って何?

宇田川玄真著の江戸時代のベストセラー医学書 『医範提綱』 の附図として1808年に刊行された再版本ですが、この図も大変な評判となったそうです。


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村上医科資料館展示品 医範提綱内象銅版図 第十六〜第十八図の見開きページ

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川嶌整形外科病院 内 ミュージアム展示品 医範提綱内象銅版図 第一〜第三図の見開きページ

補足説明ですが、宇田川玄真著『医範提綱』は人体の構造を研究するため、西洋の医書を数冊翻訳し要点をまとめて平易に説いたものです。解剖学・生理学・病理学などの知識が盛り込まれているようです。
『医範提綱』は「解体新書」、「重訂解体新書」と並ぶ日本初期解剖学史を代表する訳書として絶賛されたそうです。


手塚治虫著『陽だまりの樹』の中でも、少しだけ紹介されています。

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画像引用元:手塚治虫著『陽だまりの樹

『医範提綱内象銅版図』の何がすごいの?

日本で初めての銅版解剖図といわれ、有名な銅版師・亜欧堂田善の手で西洋医学書の精巧な解剖図が再現されています。


作者 宇田川玄真(うだがわ げんしん)について

宇田川玄真(1770-1835)は江戸時代後期の蘭方医です。
『解体新書』の作者、杉田玄白の娘と一時は結婚し、養子になりましたが離縁されています。。あと江戸時代末期の有名な医師、緒方洪庵が弟子です。


『医範提綱内象銅版図』の中身ってどんな感じ?

『医範提綱内象銅版図』はどのページも図ばかりで活字は少なく、解剖図が好きな方は眺めていて楽しめるかと思われます。

目次

凡例三則  

第一図 鋸截去脳蓋剥脳膜見脳及鎌状管
第二図 鋸截去脳蓋剥脳膜扁截前脳見黒白二髄
第三図 去脳蓋出全脳翻之見下面所起十対神経及脳動血脈

第四図 脊骨
第五図 去脊骨見脊髄被膜者
第六図 脊椎神経三十対 剥脊髄膜開之両側約截脊髄所対起神経各穿出膜外在両側者

第七図 脳神経第五対以下並蔓延対、肋間対、神経
第八図 喉頭、気管、肺、連属之前面並開両肺之合見気管支、肺血脈入于肺

第九図  気管右支攅簇肺嚢為葡萄状左支去肺嚢
第十図  心被心嚢
第十一図 脱心嚢見心及両耳
第十二図 縦割心見心室

第十三図 動静脈二血脈幹支連属並静血脈之障膜
第十四図 割開胸、腹見胸肋骨、左肺、縦隔膜、横膈、血脈両幹、乳糜管、腎本位
第十五図 横膈全形

第十六図 割開胸腹去網膜、腸、腸間膜見諸器本位
第十七図 胃之全形附割開胃膜見裏膜有皺襞
第十八図 胃管胃腸連属

第十九図  胃、十二指腸、膵、膵管、総管、連属並虫様垂
第二十図  割開腹除網膜、腹膜、及前部所被腸見腸間膜連膓
第二十一図 乳糜諸道、腸間膜、連属

第二十二図 截断腸間膜周囲啓展之
第二十三図 割開腹除前部所被腸見門脈
第二十四図 脾
第二十五図 肝前面

第二十六図 肝後面凹処脱膜者 
第二十七図 割開胆見輸胆管通孔
第二十八図 尿之諸器並男子陰具連属
第二十九図 剖腎見内質及腎盂
第三十図  割開膀胱前面見尿道、精道

第三十一図 膀胱、精嚢、摂護、陰茎、連属之後面
第三十二図 除膀胱見精嚢、輸精管、摂護、連属之前面
第三十三図 剖截精嚢見内質
第三十四図 脱睾丸膜見上睾、睾丸、精血脈、輸精管又横截睾丸見細管

第三十五図 婦人陰具連属
第三十六図 縦割卵巣見卵
第三十七図 縦割膣後面見皺襞及子宮口
第三十八図 剖開子宮見内空及子宮口此所図子宮、其大全与真同

第三十九図 割開腹見皮膜
第四十図  顕微鏡見表被有微細汗孔及凹紋凹紋者従皮紋被之故為此状
第四十一図 顕微鏡見皮凡皮成於微細乳頭状
第四十二図 脱腺膜見腺質及所連諸管

第四十三図 脱単筋膜見単繊維
第四十四図 脱複筋膜見複繊維
第四十五図 脱複筋膜見重複繊維
第四十六図 見複筋起張、牽急、短促則斜形繊維更為横形
第四十七図 見腓筋牽挙踵

第四十八図 全躯諸筋
第四十九図 臑臂筋
第五十図  髀䯒筋

中身

幾つか中のページを紹介いたします。


凡例三則のページです。
昔の偉そうな男性の肖像画があります。西哲勃即合爾都 肖像と書かれています。
右側の文章、宇田川榛斎と書かれているのは、宇田川玄真のことです。

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凡例三則 画像引用元:
内象銅版図− 03

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『医範提綱内象銅版図』第十九〜第二十一図  画像引用元:内象銅版図− 10

閲覧方法

国立国会図書館や様々な機関が、デジタルアーカイブで公開しています。いくつか閲覧方法をご紹介します。

石川県立図書館 所蔵

石川県立図書館所蔵の『医範提綱内象銅版図』は、2種を閲覧することができます。

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(画像引用元:医範提綱内象銅版図−インデックスページ

国立国会図書館

有名な本ですので、国立国会図書館から公開されています。

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(画像引用元:国立国会図書館デジタルコレクション - [医範提綱内象銅版図]

Kindle

少々驚きですが、Kindleからも眺めることができます。

医範提綱内象銅版図

医範提綱内象銅版図



展示場所

村上医科資料館と川嶌整形外科病院内ミュージアムで見ることができます。


まとめ

『医範提綱内象銅版図』(1805)は江戸時代後期の蘭方医 宇田川玄真のベストセラー医学書 『医範提綱』 の附図として刊行された再版本です。日本で初めての銅版解剖図といわれています。Kindleでも眺めることができますが、現物をご覧になりたい方は大分県中津市にぜひお越しください。