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何か面白いことないかな

大分県中津市で見つけた歴史資料10『蘭語訳撰』(1810)

大分県中津市に仮住まいしていました。蘭学関係の古文書が数多く置かれているので「中身はどのようなものか」と気になり、興味本位で調べています。

目次

大分県中津市って?

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福岡県と大分県の県境です。蘭学が栄えた街なだけあり、『解体新書』初版本が展示されています。
個人的な印象ですが、病院、歯科医院、唐揚げ屋、美容室が多い印象があります。

蘭語訳撰』って?

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日本初の和蘭辞典です。オランダ語の単語、7072語収録されているそうです。

蘭語訳撰』って何が凄いの?

日本初のオランダ語-日本語辞書です。

蘭語訳撰』著者

なんと、中津のお殿様 奥平昌高が作者です。「『解体新書(1744)』を作るときに辞書が無くて大変だった」と前野良沢(1723〜1803)の苦労話を耳にしていたようで、辞書を作りました。


当時の人にとっては、ドラえもんの道具「ほんやくコンニャク」のような、夢の道具だったことでしょう...。

アニメ「ドラえもん」に出てきた道具、ほんやくコンニャク
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(引用元:アニメ「ドラえもん」)

ちなみに奥平昌高はシーボルトと通訳無しで会話するほどのお友達です。


小幡記念図書館 図書館検索

小幡記念図書館 図書館検索

著者紹介欄が「徳川末期の豊前中津藩主」

奥平昌高さん…



蘭語訳撰』の内容

折角ですので、中身を覗いてみましょう。
こちらは小幡記念図書館所蔵の1968年に復刻された『蘭語訳選』を借りて内容を見ます。
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凡例です。
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中に記されている単語は以下のカテゴリーに分類され、記されています。
天文、地理、時令、数量、宮室、人品、家倫、官職、身体、神仏、器用、衣服、飲食、文書、錢穀、采色、人事、動物、植物
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中身の例として「天文」カテゴリーを追っていきましょう

ループ「イ」の天文ページ
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ループ「ニ」の天文ページ
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何度もループしている、単語帳のような作りです。
牽引が別に欲しかなります。
私が借りた復刻版『蘭語訳選』には、丁寧に牽引がついています。
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そしてループ「イロハ.......ス」までの、それぞれの単語数
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現代人からすると非常に使いづらい辞書ですが、当時の蘭学学習者にとっては夢の辞書だったことでしょう.....


展示場所

村上医科資料館に複製版が置かれています。
本物は小幡記念図書館が所蔵しており、特別な展示会等に公開されます。普段は金庫の奥深くに眠っているそうです。

まとめ

中津藩主の奥平昌高は日本初の日蘭辞書(日本語-オランダ語)『蘭語訳撰』を作りました。その内容は単語帳のような作りで、カテゴリーに分けられて記され、なんども繰り返します。当時の人々が、手探り状態で外国語の辞書を編纂した様子が伺うことができます。

参考文献

1968年復刻版『蘭語訳選』 京都:臨川書店 監修:松村明
郷土の歴史(蘭語譯撰)|中津市立図書館