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何か面白いことないかな

大分県中津市で見つけた歴史資料③『博物新編補遺』(1869)

目次

大分県中津市ってどこ?

福岡県と大分県の県境の長閑な街です。

一万円札に描かれている福澤諭吉先生の故郷です。
余談ですが、Dr.コパの風水本に「金運上げるためのラッキーフードは鶏肉」と紹介されていました。名物「中津唐揚げ」バブルを起こしているこの地は、風水までも金運の味方しているようです…。

この町の目玉は『解体新書』(初版本)が見られることです。
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『博物新編補遺』って何?

明治2年(1869年)に発刊された、自然科学の教科書です。上中下の3巻からなります。明治初年に広く用いられた教科書だそうです。
外国の書籍Introduction to the Sciences(W. and R.chambers 著)を翻訳して作られました。訳者は小幡篤次郎です。

※ややこしいのですが、慶應4年(1868年)頃の大森解谷訳『博物新編訳解』(英・Benjamin Hobsonが中国人向けに漢文で著した「博物新編」を翻訳したもの)とは別物です。

『博物新編補遺』って何が凄いの?

日本最初の科学全般にわたる入門書です。
明治5年文部省の「小学教則」中の「理学輪講」用のテキストとして挙げらているそうです。明治初期は「翻訳教科書」の時代と呼ばれています。江戸時代までなかった教科について、新しく作るよりも外国の書物を翻訳したほうが簡単なため、多くの翻訳教科書が作られました。


漫画『るろうに剣心』が明治11年設定なので、『博物新編補遺』の発刊から9年後の時代でしょうか。薫ちゃんが17歳設定なので、『博物新編補遺』は薫ちゃんが8歳の時に発刊されたもの…もしかしたら教材に使っているかもしれませんね。


出典:『るろうに剣心明治剣客浪漫譚』1巻55ページ

『博物新編補遺』の内容

  • 上巻:天文・物理
  • 中間:物理・気象
  • 下巻:動植物人体から人生論



それでは少し、中身を覗いてみましょうか。

前回に引き続き、天文分野のページです。
前回ご紹介したの『天変地異』は迷信を拭い去る要素が強かったのですが、こちらの『博物新編補遺』では、小学校の教科書らしくつらつらと天文の説明がされているように思います。

『博物新編補遺』上巻
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出典

人体関係の図です。
杉田玄白前野良沢らが非常に苦戦して『解体新書』(1774年)を翻訳していたのに、1869年には教科書によって広く国民に知られるようになったようです。100年足らずで、学問は急激に進歩したものですね。

『博物新編補遺』下巻
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出典:早稲田大学

『博物新編補遺』の原本 Introduction to the Sciences(W. and R.chambers 著)1867 ?

原本となった、自然科学の入門書です。

William Chambers(1800-1883)とRobert Chambers(1802-1883)兄弟のIntroduction to the Sciences(1861 ?)が原著です。

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出典:
Catalog Record: Introduction to the sciences | Hathi Trust Digital Library


米国オハイオ大学がデジタルアーカイブで公開しているので、原本を読むことができます。

目次を比較してみると、内容が同じことがわかります。

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出典:早稲田大学

所蔵場所は?

小幡記念図書館内に展示しています。公立図書館なので入館無料です。


まとめ

『博物新編補遺』は明治2年(1869年)に発刊された、自然科学の教科書です。日本最初の科学全般にわたる入門書は、天文・物理・気象・動植物人体から人生論と幅広く扱っていたようです。
『解体新書』(1774年)が出るまでは人体図を含め、科学において国内では遅れを取っていましたが、その後の学問の発展からか、1869年には『博物新編補遺』のように人体を含む自然科学の教科書ができたようです。