something

何か面白いことないかな

KULA(クラ)―貝の首飾りを探して南海をゆく

KULA(クラ)―貝の首飾りを探して南海をゆく

KULA(クラ)―貝の首飾りを探して南海をゆく


テレビ番組「すばらしい世界旅行」のために制作された「クラ−西太平洋の遠洋航海者」。これがどのように制作されたかの3年の歳月を要したこのフィルムの記録。映像人類学

著者の市岡康子さんがマリノフスキーの「西太平洋の遠洋航海者」を読んだことがきっかけにドキュメンタリーフィルムを制作することになる。舞台はトンブリア諸島(主にキリウィナ島とその周辺の島)。トンブリア諸島含むニューギニア諸島東海上では「クラ」と呼ばれる貝の装飾品の儀礼的な交換のこと。
クラではパートナー関係が決まっていて、両側の島々のパートナーに渡さなければならない。主にキリウィナ島シナタケ村の人がファーガソン島に行くところが載せられていたかな。

首飾り(バギ・ソウラバと呼ばれる)は島々の間を時計回りに回って、腕輪(ムワリと呼ばれる)は逆方向に回る。受け取った装飾品はある程度時間を置くと、次の島のパートナーに渡されるという仕組みで島々の間をぐるぐる回ることになる。

一見ただの装飾品を受け渡すだけのイベントのように思うけど、現地の人にとってとても大切な儀式で真剣にクラに打ち込み、これを生きがいにしている。この島の人たちと価値観が違うからあまり理解できないことかもしれないけど、この本を読んでいるといかにクラが大切な儀式であるのかが伝わってくる。

ここの地域では呪術が信じられているようで原住民が重要性を持つも台に取り組むときは必ず呪術に助けを借りている。たとえばクラの出航前、出航中など様々な場面において。唱えている呪文の通訳はかなり難解なもので現代の人では歯が立たないそうだ。作者は呪術の所有者である老人から多少英語のわかる老人の息子を介して単語帳を作ったようだった。部外者に訳せない理由としては航海してクラを長年行っている人にしかわからない固有名詞(海峡や岬、山、村の名前など)があるのと、一つの単語に長い意味があるものがあってなかなか訳せなかったようだ。本の最後のほうにキリウィナ語を訳したもの(正確に訳されている保障はないらしい)が載っていた。

本書で少しだけ紹介されていた映像作品
Nanook of the North, Robert FLAHERTY, 1992

フランスの民俗学者にして映画作家Jean Rouch